ワールドトリガー106話を読んで

ワールドトリガーの魅力のひとつは、しっかり張られた伏線とちりばめられた要素が、物語の大きな流れに収束されていくことだと思っています。
タイトルにはきっと何重もの意味が込められているんだろうと想像していますけども、画面上のエッセンスひとつひとつがトリガーとなって、大筋:ワールドトリガーの世界と、各キャラクターの世界の掘り下げが進んでいくという構成が、とってもワールドトリガー、つまり世界の引き金らしくて素敵ですよね! 何を言ってるんでしょうね。


▮ 二宮先生の行動原理が分からない

二宮先生は、とても誠実というか、正直で私利を優先しないという意味で、フラットな人なのではないかと考えています。玉狛第二は事情がありますし、目立つので、プラスマイナスどちらかの感情に評価が振れることが多いです。彼のようなフラットさは大変貴重であります。非常に客観的です。
凄いなあと思うところは、彼が前述の通り玉狛第二に対しても、元部下であるスナイパー鳩原氏に対しても、色のついた感情を持っていなさそうなところです。玉狛第二は次の対戦相手だし、前回の戦い方も見ているけれど、あくまで重用参考人である「雨取麟児の関係者」として接しています。鳩原氏についても、女性に対してそれはどうなんだというコメント言ってましたが、二宮先生もともと口悪いですし、「写真の女」の補足の域を出ないレベルでしょう。鳩原氏が気に入らないから言っているとか、逆に親しい仲であるから軽口を叩いているとかいうより、彼のデフォルトがこれなんでしょうね。成人男性としてどうかと思うけど。

今回の話、遊真が同席しているため、腹の内を全て明かした訳ではないでしょうが、おそらく嘘はないと判断していいと思います。そうなると、二宮先生は「利」を主軸とした行動原理に鈍そうなんですよねえ! 
過酷な環境で育ち、敵か味方かで他人を判断してきた遊真は、二宮先生にいち早く目的を質しています。彼が、自分たちと利害関係にあるのかどうかを確認してる。こういうところ本当に頼りになります。二宮先生は逆に、そこでは人を判断しなさそうです。自分にとって都合のいい人だとか、逆に悪い人だとか、そういうのは関係なく、本人の資質を(上から)見てる。偉そうなんだけど、でもフラットです。裏がありそうなんだけど、でもフラットです。

例え鳩原氏が、二宮先生の言う通りお馬鹿さんだったとしても、公式でお馬鹿なボーダー隊員いっぱいいますし(失礼)、鳩原氏でなければならなかったとはいかないまでも、鳩原氏が計画に適していた要素があったはずです。教唆で最高レベルの違反行為をさせられるくらいなら、ボーダーの組織としてのあり方がもう終わってます。
修が指摘したように鳩原氏側にもメリットがあったのか、はたまた鳩原氏が脅迫を受けていたのか、本部の判断通りに鳩原氏が主犯なのかは不明ですが、二宮先生冷静に取り調べしている割には、ちょっとお育ちが良すぎませんか?

個人的には、鳩原氏が超やり手ウーマンで、冴えない馬鹿女はカモフラージュだったっていうラノベみたいな展開がおこのみ先生なのですが、そうなると二宮先生とんだピエロなのでなんともはや…… 二宮先生なんだかんだで性善説支持者の傾向があるというか、なんだ、見かけによらずいい意味でのバカ正直っぽいからなあ。

「今更つかまえようもない」し、「下手につついて拡散する方がデメリット」なのに、鳩原氏密航事件の黒幕については「使い道のない情報」ではないんですかね?
鳩原氏の重要規律違反の容疑が晴れれば、二宮隊のB級降格が解除されて、A級に戻る権利を得るというのならともかく、そんな本部の事件秘匿という方針と矛盾するようなシステムがあるわけないし、おそらく降格は謹慎処分みたいなもので、時間によって解除されるか、または正規の手段で再度A級になれるんでしょう? A級固定給の件を考えると、恒久的にB級というのも変な話ですし。
要するにさ、二宮先生ってば、密航事件が腑に落ちないんでしょ? 鳩原氏が唆された(=本人の意思や目的とは違うのに巻き込まれた)から取り戻したいとか、鳩原氏の汚名をそそぎたいとかそういう優しい目的でもなければ、黒幕を殴ってB級降格の恨みを晴らしたいとか発散系の目的でもないよね?? ただ自分が納得できないから知りたいんじゃないの?? そう思われても仕方ないわよ~それこそ「知ってどうする?」よ~!! なんかあんだろ? 他に狙いがあんだろ??
あっ! じゃあ、二宮先生に「聞いてどうする?」って言われた時に「別にどうもしない」「麟児さんがいなくなったとき何が起こったか知りたいだけだ」って言ったら教えてくれたのかな?? もう二宮先生分かんないよ!!

とにもかくにも、二宮先生は玉狛第二を悪意的に見ている訳でもなく、期待している訳でもなく、非常にフェアな目で見てくれる貴重な存在なので、是非今後も引き続き批評をお願いしたい次第でございます。二宮先生の考えていることはさっぱり理解できないけど、彼の言うことなら、私、信じられる……! っていう状態です今。


▮ チカちゃんの冷静過ぎる合「利」主義

よく分からない二宮先生に対して、ゾッとするほどの合「利」主義を貫いているチカちゃん。ブレませんね~! 目的のためには手段を選ばないタイプ。他人を犠牲にしたり、アウトローなことはしないという分別がついてるのもより怖いです。焦ってないし。冷静過ぎて怖い。

チカちゃんの「兄になら そういうことができます」という含みのある発言、素直に考えれば麟児さんが何らかのSE持ちなのかな? ってところですね。二宮先生の反応からしても、恐らくこの会話をした二人は中身を分かってるんでしょう。意識操作系か、チカちゃん同様感知系か。


▮ とりまる先輩の師匠としての才能がヤバい

これは、本当に16歳なんでしょうか?
「京介は教えるのが上手い」とは確か迅さん評だったような気がしていますが、「上手い」というレベルを軽く逸脱していませんか? こんなもんなんですか??

修がガンナー・シューターになりたいと言ったときも、こういうやりとりありましたね。口では「それはそうなんですが」って言ってるんですけど、明らかに納得しきれていない感じ。
とりまるはあの無言の間でいろいろ考えているのか、はたまた修から続く言葉が出てこないのか待って確認しているのかは不明ですが、とりまる先輩の先見性と判断力の高さと頭の回転の速さがヤバい。
弟子からの申し出には出来る限り応えるというとりまる先輩は、もうなんというか、師匠になるために生まれてきたというか、とにかくすげえな(語彙不足)。

「シューターとしての戦い方」を「射撃戦の専門家」に聞くというのが面白い。シューターとしてなら出水くんなんでしょうが、彼トリオン量とセンスありきの方法よりも、嵐山隊の中距離コンビに教わったほうがいいような気がしています。なんとなく。

それにしても並んでゲームしてる出水くんと国近ちゃんかわいいよおおおお!!! 国近ちゃんゲーマーですから、射撃系の戦術にも長けてるんでしょうか……スーファミっぽいよね? レトロゲー好き?? ああかわいいめっちゃかわいいです。