ワールドトリガー105話を読んで

今週もちょっと気になったところがあったのでつらつら書いていきたい所存です。


▮ エネドラッドちゃんから語られる色濃いSFの世界観

エネドラさんご本人の生命活動はやはり停止していることが改めて明らかになりました。そして、アフトクラトルの持っている『角』の技術が、本人の人格をも保存してしまうような性質だったというのに驚きです。データって生体情報だけじゃないのね! 攻殻機動隊で言う電脳チップのようなものなのでしょうか。『角』に浸食されてエネドラさんの性格が変わってしまったということは、今のエネドラッドちゃんのキャラクター性は、エネドラさんの記憶を持った『角』の性格ということになるのかな?
……あっこわい! 今怖い想像した!! やめよう!

そしてそして、衝撃的だったのは近界のシステムのことです。近界が一星一国家のシステムであることは理解していましたが、「惑星国家」ということだったのでてっきりその土台があるものだと思っていました。するとなんということでしょう、その土台こそがトリガーだったのです! そしてその名前がマザートリガー!! HOOOOOO!! エクスタシー!!!!! マザーきました! SFのお約束とも言えるマザーシステム! もう大興奮です!! 大好き! こういうの大好き!!!!! SF世界における人工知能スーパーコンピューターやマザーコンピューターというお約束システム、そのマザーコンピューターが意思を持って反乱、なんて黄金展開は、やはりかの有名な「2001年宇宙の旅」のHALが先駆けかなあと思うのですが、もうそう考えるとIBMってすごい。でもそのマザー コンピューター トリガーへの電力供給は、当然のことながらトリオン! マザートリガーにトリオン源としての生贄とは、これまたSFと神話の融合みたいなことになってきました。っていうか、トリオンは人体からしか生み出せないのですね。マザートリガーが人工物ではない天然のトリオンしか受け付けないとかそういう話?
そういえば、ボーダー本部の壁や装備砲や、遠征艇や、それこそこのエネドラッドちゃんに供給しているトリオンの出所はどこなのかしら? 説明されてましたっけ…。ボーダー本部で、トリオンを例えば電気のように発生させる技術があるのであれば、それを近界のどこも使っていないのは変な話だし、もし同じように人からしか抽出できないとしたら、『マギ』のマグノシュタットで行われていたような、特定の人達からの “トリオンの抽出作業” が必要になってくる。個人的には涎出るくらい好きな展開だけど、ワートリでそこまでダークなことを、ボーダーにはしてほしくないです。

アフトクラトルが「神の国」と言われているのは、宗教国家ということではなく、そのマザートリガーに捧げる生贄を厳選しており、そのトリオン能力=神の力で大きくなったから、とのこと。アフトクラトルで言う「神」とは、星(国)の活動の全ての源となり、生活を支え、土地を支え、そしてその一生をマザートリガーに捧げることになった、悲しい運命のことを呼ぶのですね。せつない。
せつないついでに残酷なことを言いますけれども、その生贄というのは一人じゃなきゃいけないのかしら? 神クラスのトリオン量の人はそういなくても、それなりのなら結構いるんじゃないのかな? 「トリガーと同化して星の面倒をみる」とあるし、ビジュアル的にもめっちゃひとりだけだけど、あの人体がいわば培養液の容れ物みたいなものだとしたら、それこそトリオン供給器官だけぶっこ抜いて人型の何かに詰め合わせればいいのよね? そういう話じゃないのかな??


▮ 玄界(ミデン)という存在

あと、個人的にグッときたのは(もうグッときっぱなしなんだけど)、近界の星の生命活動、つまりは風が吹いて雨が降って夜が明けることや、そういったものが「トリガーの力で作られている」ということ。トリガーが停止すると星がボロボロ崩れちゃうのかと思ったけど、そういうことじゃないのですね。生命が住める環境じゃなくなるということか。
つまりは、そのトリガーの効力って、地球の自然現象に該当することなんですよね。エネドラちゃんは地球の人を「猿」と呼んで馬鹿に? してるけど、地球そのものは罵倒していない。恵まれた環境にいる温室育ちのおぼっちゃん、みたいなニュアンスかな? 近界の人達が地球に恋焦がれている可能性が出てきた! それでも侵略戦争をしないのは、もう絶対に敵わないことが分かっているからなのね。
そして、近界の人達が、地球を「玄界(ミデン)」と呼んでいる理由も、勝手な解釈だけど、とてもよく分かるような気がします。

ミデンはギリシャ語で「ゼロ」を表す言葉なので、近界の人達は、こちらの世界をある種の「基準」として考えているんだなあ、くらいの認識だったんですけど、惑星国家の本質がトリガーだったということから、マザートリガーが無いという意味で、ゼロという名をつけたと考えるとめっちゃしっくりきます。生贄が無いからゼロでもロマンチック。そもそもワートリの地球とリアルな地球が同じという説明は無いけど、「トリガーは近界のもの」という発言を考えると、地球はトリガーで出来ていないはず。
ミデンという言葉に十分意味があるので、漢字表記である玄界という呼び名は、まあめっちゃ遠いっていう意味かな~くらいで、さほど気にしてなかったんですけど、コトバンクさん眺めてたら180度考え方変わりました。

老荘思想で説く哲理。空間・時間を超越し、天地万象の根源となるもの。
<「玄(ゲン)とは - コトバンク」より>

KI・TA・KO・RE
いやそのまま玄学の「玄」だとは思わないけどさ! 近界はそれこそ玄界と同じ様な「天地万象」を、トリガーでわざわざ生み出している訳ですよね!? 地下空間の天井を青く塗るのと同じことよ!!
あーもうアフトクラトル以外の近界についても知りたい……どうなってんの……惑星国家一体どうなってるの……!!


▮ てってって

ワートリでは比較的よく使用される擬音ですけれども、遊真がね、とっきーと日佐人と諏訪さんを見つけて、かけよったという事実がもうね、もうね……。
諏訪さんにわしゃわしゃやられている遊真も、それを優しく見守る日佐人ととっきーもたまりません。日佐人めっちゃいい笑顔してる。
三輪隊長はともかく、荒船さんも、村上くんも、もちろん米屋や緑川駿くんも、みんな遊真に対してとてもフラットで、ボーダーの隊員という意味で好意的に接してくれているのが嬉しいです。菊地原くんだって、口調こそはあんなだけど、遊真が近界民であることよりも、彼一人しかまともに戦えていないことに苦言を呈している。……アレッ菊地原くんただのいい人じゃない?

そしてこんな時でも菊地原を気にしているとっきーはやはりフォローの鬼でございました。っていうか次風間さん解説なのかよ!? 玉狛第二の解説陣がやったら豪華じゃありませんのこと!?

本編とは関係ないけど、何となく荒船さんは荒船さんで、村上くんは村上くんと呼んでしまいます。二人とも同い年なのに……なんか荒船さんって成人してる雰囲気あるんですよねえ、ありません??


▮ みんな大好き二宮先生

きたぞ! みんな大好き二宮先生のお時間です! 他人様のお宅というか本拠地にお邪魔しているというのに随分な態度の大きさだ! 「座れよ三雲」じゃないよ! おどろきの馴れ馴れしさ!!! これは二宮先生、大学生かどうかは存じませんが、もし大学生だとしたら、学生のうちからこんなだと色々大変だと思うぞ! 前回は自分が所属している組織の喫煙室という内輪+限定的な場所で、一緒にいた相手も年下の後輩で、試合をしていたのも解説もみんな同年代か年下だったからいいようなものの……!
麟児さんと何か一枚噛んでいるらしいことはもうダイレクトで餌ぶら下げられていた状態なので、このまま先生の御意思のまま、ニンジンを追いかけることにします。ヒヒーン!