ワールドトリガー 103話を読んで

玉狛第二のランク戦第二弾が終了しました。

葦原先生の「キャラの株を下げない」技術、他に類を見ないレベルの高さだと思いませんか。今回も例にもれず、既存のキャラを再評価し、玉狛第二の課題点を洗い出し、おまけに新顔のキャラ立てまでしていく。見事な手腕に舌を巻くばかりでございます。


▮ 太刀川さんの解説は高品質

太刀川さんが解説席に座ってからというもの、彼の株がストップ高を記録し続けています。彼の解説はすばらしい。
神解説といえば東さん!というのはワートリ界で半ば常識になっているようなので、太刀川さんの解説がどうすごいのか、東さんの解説と照らし合わせて僭越ながらご紹介します。

東さんの解説は、丁寧なため初心者に分かりやすく、かつ深みもあるので上級者にも勉強になるスグレモノです。それは彼が年長者という立場に育てられて、ああいう視点で言葉を選ぶようになったんだと思うんですけど、隙のない解説であるがゆえ、東さんが本当に思ったこと・感じたことというのは表に出てきにくいから(実際、口に出さない台詞がいくつかある)、少し臨場感に欠けるなあとも思うんです。解説なんだから臨場感なくたっていいんですけど。

その点、太刀川さんは(最低限の分別はあるものの)素直にコメントをしており、 “強い人が普段何を考えているのか” が分かる内容なんですよね。( もしかしたら、初心者や戦術勉強中の隊員にとっては不親切な解説なのかもしれません。読者は戦っている隊員のモノローグが見えるので問題ないですけど。)
そしてそれを通じて、今までよく分からなかった太刀川さん本人の人となりが見えるようになっていて、私はここに今回やられてしまいました。

太刀川さんはバトルそのものを楽しんでいるけど、想像以上に組織における役割を理解していて、純粋な戦闘員としてはナンバーワンと言って差し支えない実力者でありながら、あくまでも「駒」のひとつとして行動している。冷静で素晴らしいと思うけれど、20歳そこそこで到達する領域じゃないと思います。


那須隊の覚悟と漂う悲壮感

迅さんは、那須さんの単独3点という好成績は、くまちゃんと茜ちゃんが逃げずにしっかり役割を果たした結果だと評価しました。知ってたけど、彼はびっくりするくらい優しい人でした。
彼女たちふたりは、ポイントを取れてはいないし、生存点もないから、数字の上ではマイナスになってしまうんですよね。ボーダーの若い子たちは聞き分けが良すぎるので、普段の活動の中じゃそこまで個人成績を気にしていないでしょうけど、今回は茜ちゃんの脱退による時限付きの目標があったもんだから、ランク上下に直接影響する点数には普段以上にこだわるところだったと思います。上位陣に追いつくという戦略レベルの視点で、間違ってない判断だったと評する迅さんマジナイスフォロー。
そして、獲得ポイントはチームの力としながらも、那須さんにとって実力的には格下である来馬先輩と修相手にベイルアウトした背景には、指揮官としての仕事とエースとしての仕事の二重負担があったのだとする話の運び方。素晴らしいです。

那須隊は、那須さんの儚げな見た目となんかワケアリっぽい演出のおかげで、とにかく悲壮感というか決死の雰囲気というか、なんかそういう切ない感じの空気が半端ないのですが、まだ一緒にチームが組めるみたいで、ひとまずは良かった。

それにしても、読者はこの那須隊の覚悟や茜ちゃんの事情も知っているけど、実際に戦う玉狛第二は知らないっていうのがまたね! そそります!


▮ 突然の嵐山隊

「木虎を新エースに据えて戦績が上がった嵐山隊」ってどういうことですか。
嵐山さんが指揮官でありエース(=点取り屋)だったということなんでしょうけれども、問題なのは、エースになる前から木虎ちゃんは嵐山隊だったのか、それともエースとして補強された新加入の人材だったのかということですよ。 なんとなく後者っぽいんですけど、こうなるとますます「木虎ちゃんは元加古隊」説を推していきたくなる所存です。Kのつく女子だしね!嵐山隊にヘッドハンティングされて脱退したことで、黒江ちゃんとのなんか確執があったんじゃないかどうかと邪推していますとにかく加古隊詳細はやく。


▮ 来馬隊のこれから

来馬隊の敗因は、当然ながらエース村上くんが遊真に負けたことでした。
来馬先輩は村上くんが勝利すると踏んで彼を「待った」けれども、修は遊真が勝つことに賭けて彼に「任せた」。その差が結果に出たのではというみかみかの釣り(見事なまでのフィッシングテクニック!)に、太刀川さんがそれは結果論だとマジレス。 そもそも村上くんと遊真の勝負は圧倒的に村上くんのオッズが低く、隊長の戦術通りに動けなかった村上が悪いと一刀両断してました。やっぱり太刀川さんは「強い駒」なんですよねえ。

どうでもいいけど、ここの太刀川さんの「なんない」がやたら萌えるんですけど。太刀川さんが普段使っているであろう言葉を、こうやってそのまま解説でも使っているから、彼の言葉にはリアリティがあるんだろうなあとぼんやり思っています。葦原先生のこういう細かい言葉のセンスが大好きです。

来馬先輩がベイルアウトするときに放った捨て身の一発は、迅さんの言うように本当に価値があるものだったと思います。大規模侵攻を経て、敵味方問わず強い戦い方を間近で見たことも彼の血肉になっているのだろうけど、何よりも、ベイルアウトした後も大局は流れているということを実感できたのが大きかったのでは。
太一が離脱しても、エース村上くんが離脱してひとりになっても、さらに自分が離脱しても、そこで戦闘が終わる訳じゃない。戦闘から抜けても出来ることがあるというのは、それこそ風間さんやレイジさんやとりまるがしっかりと魅せてくれたところでした。今回は結果的に玉狛第二に花を持たせたかっこうだけど、鈴鳴第一はのびしろがいっぱいあっていいですなあ!


▮ A級1位太刀川隊:出水公平のやらしさ

出水が修やチカちゃんを買うのは当然のことだと思います。あの修の行動を見て彼の心根の強さみたいなものを感じない防衛隊員はいないだろうし、出水が実力者であればあるほど、チカ砲の威力を痛感しただろうし。
弾の威力も数も敵わないとさえ思っていてもそんなに不思議ではないのですが、当たり前のことを当たり前に言う出水のかっこよさというのが半端ないですね。どこから来るんだこのかっこよさ。

太刀川隊が玉狛第二よりも強いということは、もう誰が見ても明らかだし、そんなこと今更確認するまでもないのですが、玉狛第二は万馬券を当てる引きがあったし、実際格上の相手に勝利しているんですよね。で、その大番狂わせを演じた玉狛第二に対して、もし玉狛側が100%有利な状況だったとしても、どんな奇跡が起こったとしても、太刀川隊が負けることは「まさかさすがにそれはない」ことなんですね。

玉狛第二の最大値と太刀川隊の最低値で当たったとしても負けないという自負、やられたお姉様方も多いかと思います。出水もたいがいやらしい好感度の上げ方するじゃねーの!
(それにしても、出水はフェイントとか後出しとか二段作戦とかに対してやらしいって言うね。最初にフルアタックと見せかけてフルガードというやらしいことしたの出水先輩なのにね!)(最初に「いやらしい」と表現したのは佐鳥だったと思うのだけど、結構特殊な感覚だと思うので、出水先輩の評価観が佐鳥に移っちゃったんだとしたらめっちゃかわいい。)

そういえば「雨取ちゃん」って呼ぶの可愛すぎるから。古寺の「黒江ちゃん」といい、男子高校生が年下女子を名字+ちゃんで呼ぶの本格的に可愛すぎるのでもっと広まればいいと思います。


ミルククラウン ⇒ はごろもフ●ズ ⇒ シーチキン

シューターNo.1は出水だと思っておりましたが違うのですね。 美しいミルククラウンの隊章を持つB級の二宮先生。二宮先生はアレですね、麟児さん蒸発事件の時にチラッと映りこんでいたイケメンさんですね。

隊章があるということは元A級ですが、もうどうしてもシーチキンが大好きな人にしか見えません。非常に短絡的で、かつ本編に関係ないところで申し訳ないのですが、どうしたってミルククラウンを隊章に採用する理由が「シーチキン」以外に見当たらないのです。いやもう完全に毒されている自覚はありますがシーチキンなのです。

チカちゃんが人を撃てないということは、今回のランク戦だけでも伝わってしまうかなあと思うのですが、前述の麟児さんのこともあるし、もしかしたらこの二宮先生は雨取家と何かしらの関わりがあるのかもしれないと思ったけど、こういう予想は当てられないので多分ないですね!


「大砲」チカちゃんと「白い髪」遊真と「メガネ(ブレない)」修が、二宮・ミルククラウン・匡貴氏率いるミルククラウン二宮隊と、カゲの影浦隊と、我らが東隊と四つ巴(巴って4つじゃないけどどうすんだ栞ちゃん)が始まるんですかね!

次回の解説、大穴中の大穴で草壁隊長待ってます!